2021.04.21

コロナに翻弄された1年を経て~日本大 若林選手インタビュー~

4月23日(金)より、2年ぶりのスプリングトーナメントとなる第70回関東大学バスケットボール選手権が開幕します。


開催記念として、コロナに翻弄された1年を振り返り、その中でも特に大きな影響を受けたチームを取材しました。


第1弾となる今回は、オータムカップ2020にて1部所属大学で唯一試合を棄権した日本大学です。




まずは自己紹介をお願いします。


若林 行宗(ワカバヤシ ユキモト)です。日大豊山高校出身で、先輩をあげるとジャワラさん(ジャワラ ジョセフ、20年卒)ですね。日大豊山出身でAチームに絡む選手は少ないので、そういう意味ではジャワラさんの背中を追い掛けてやってきた感じです。(笑)


これまでの大学バスケでのキャリアはどういったものですか?


1年時はBチームスタートで、そのままオータムリーグの終盤までは特に出場機会もありませんでした。ですがリーグ戦の後半にBチームとAチームの試合があって、その試合はたまたま調子が良く、シュートがかなり決まったんですよね。その試合の結果もあってAチームに呼んでもらえるようになりました。2年生の時はトーナメント、新人戦も少しずつ試合に出させてもらっていたんですけど、その後怪我しちゃって。そのままシーズン終了しちゃいました。3年の時は一応Aチームだったんですけど、試合に絡むって感じじゃなくて。ちょっといい選手が入ってきて出場できない。みたいな感じでしたね。



コロナに翻弄された昨シーズン

では昨シーズンのことをお聞きしたいです。コロナが広まってスプリングトーナメントが無くなり期間が長く空いた期間、チームとしてはどのような感じでしたか?


まずは、メンバーが揃わなかったですね、帰省しているメンバーも多かったので。ただ、その中で残っていたメンバー、上澤さん(上澤 俊喜、21年卒)や黒田(黒田 亘、4年)と一緒にシューティングやウエイトトレーニングはずっとやってましたね。幸い、トレーニングルームは空けてもらえたので、バスケットボールはできる環境にいました。



8月、オータムリーグが中止の連絡があったと思うんですけど、その際の雰囲気はどのような感じでしたか?


まずはリーグよりもトーナメントが中止になったことがチームとしては大きかったですね。特に4年生は結構ショックを受けてました。正直、3年生以下は来年以降もチャンスがあるけど、4年生はラストじゃないですか。だからその姿は特に印象に残ってますね。



なるほど、その後オータムリーグが中止の連絡があって。


はい、8月は本格的に進路が決まっていない先輩も結構いて、そういう面で自分も結構不安になりましたね。自分たちの時もなかったらどうしようって。



その当時、練習はやられていたんですか?


8月頃はちょっとずつって感じですね。その時日大の寮でコロナが発生しちゃって、そうなると練習も中断。その後バスケ部でもコロナが発生してまた中断。正直あまり練習はできていなかった環境ではあったと思います。



なるほど、その後オータムカップが開催されるリリースがあった時にはどのような雰囲気でしたか?


リーグ戦の代わりだったじゃないですか。だからもしインカレがなかったら最後の試合かなっていうのはあって。そこから結構危機感みたいなのがチームとして芽生え、練習も緊張感がありました。バスケットができていなかった分、結構みんな溜まってたのか、活発にというか激しく練習やっていました。



いままでできなかった不満を解消するじゃないですけど


そうですね。バスケットできるっていうことを純粋に楽しいみたい気持ちがあって。もちろん練習きつかったですけど、やっぱりバスケットやってる方が楽しいって感じでした。(笑)



では、そのオータムカップの中で日本大は一度試合を棄権しましたよね。その際は?


コロナが発生したのはバスケ部ではなかったんですけど、寮で発生しちゃって。それでバスケ部も活動中止になりました。



昨シーズンの中では貴重な試合機会でしたが、チームの雰囲気はどのようなものでしたか?


ベスト4とか決勝とかにはいけないっていうのは理解していたんですけど、やっぱり試合数が減ったことはキツかったですね。試合を結構楽しみにしていた選手も多くいたんで、その面では結構ショックは大きかったです。



その後最終的にオータムカップは8位で終えて。その後インカレが開催される流れになりましたが、オータムカップの時のような雰囲気は続いていたんですか?



いや、正直気が緩んでいたというのはありました。前回大会と似たような組み合わせで早稲田っていうところがあって。オータムカップでも早稲田には勝っていたので、余裕と感じる程ではないですけど、ちょっと気の緩みみたいなのはあったと思います。



そして早稲田に(スコアは85-79)負けて、ベスト16で終えましたね。


負けた後は、受け入れられないみたいな感じで、ああ負けちゃったみたいな。あっけなく終わっちゃったみたいな感じでしたね。城間さんもスタッフ陣とかも上澤さんも、涙すら出ないみたいな感じで。ああ、俺終わっちゃったな。って上澤さんが言っていたのを聞いて結構心にきましたね。



心機一転、新シーズン

まずは今シーズン、若林選手がキャプテンに就任されましたが、その理由は?


一番のポイントを挙げるとすれば、冷静にっていうか、あまり試合にも絡んでなかったので、第三者目線でものを見れてた点だと思います。どうしてもプレーしていると誰しも熱くなっちゃうんで。だからこそ自分を城間さんは指名してくれたのかなって思ってます。

 

なるほど、では続いてチームのことをお尋ねします。

今シーズンはいつから始動されたんですか?


帰省していた選手も多かったので、チームとして活動を再開したのは3月に入ってからですね。



その中で制限等はどのようなものが?


やはり一番大きかったのは練習時間の制限ですね。緊急事態宣言の影響もあって8時までしかトレーニングルーム含め使用できませんでした。最近(取材日:4月15日)になって10時まで使えるようになったんですけど。



チームの雰囲気はどういった感じですか?


まず、今年からチームのスタイルが大きく変わりました。これまでは「シューター軍団」として、オフェンス面で取り上げて頂くことが多かったんですけど、今シーズンからみんなでディフェンス頑張って、速攻出すスタイルになりました。



これまでとは真逆ですね、そのように至った経緯は?


やはり得点力は年々落ちてきていることが否めないってこともありますし、今年はそれに加えてサイズ不足の問題もあります。その中で勝っていくためには、スタイルを変えるしかないなってことがありました。



真逆のチーム作りを行っていく時に、チームで雰囲気が悪くなったりはしなかったんですか?


そうですね、やはりインカレが不完全燃焼で終わってしまったことが要因のひとつではあるかなと。あとは、プレースタイル的にアウトサイドシュート中心というより、速攻だったり、ディフェンスだったりを持ち味としたプレイヤーが多いこともあり、切り替えは上手くできていると感じますね。



スプリングトーナメントに向けて

今シーズン初戦、第70回関東大学バスケットボール選手権が4月23日に開幕しますが、大会に向けての意気込みをお願いします。


チーム的にまだそういうの話したりはしてないんですけど、個人的に、大事だなと思っているのは初戦ですね、入りの部分が大事だなと思ってて。順当に上がってくると上武とか法政といった、2部の強豪だと思っています。ですが、生半可な気持ちで挑んだら結構足元救われるんじゃないかなって。初戦、やっぱトーナメントの初戦っていうのは大事だと思います。



では、その中で注目選手はいますか?


3人います。一人目は4年生の原大晴です。留学生が2人いるんですけど、1,2年生なんでわからないことや、精神的にまだまだ幼い点があります。また、ベンチメンバーに4年生が少なかったりするので、原は精神的な面でチームを支えられる人物だと思ってます。

二人目は、飯尾(飯尾 文哉、3年生)ですね。飯尾はボールをプッシュすることが得意な選手なので、新チームのスタイルにかなりフィットすると思います。あとはディフェンスでハードに仕掛けたり。スタメンに四年生が少ないこともあるので、三年生、上級生としてスタメン組を引っ張ってってくれたらいいなって思っています。


三人目は一年生の米須(米須玲音)ですね。



ではちょうど米須選手の名前が挙がったので。

今シーズンの1年生は強力な選手が多く、特に米須玲音、コンゴローデイビッド、丸山賢人の3人はウィンターカップでも活躍し注目度も高いと思います。その3人とこれまでプレーしてどうですか?


堂々とやってくれているなと思います。高校と大学では強度やスタイルなど、大きな違いがあると思うんです。ですが、そこに上手く順応しているのはスゴイと思いますね。


日本大の初戦は5月3日(月・祝)となる。

チームスタイルを変え、生まれ変わったRED SHARKSの初陣に注目したい。

Writer
谷嶋 瑞希(ヤジマ ミズキ)

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